はじまりは愛着から FREE

2018年02月05日 10時00分

「はじまりは愛着から 人を信じ、自分を信じる子どもに」佐々木正美:著(福音館書店)

 著者の佐々木さんは、高名な児童精神科医。子供に寄り添った内容の書籍を多数出版されています。残念ながら、2017年6月に他界されてしまいました。しかし、その言葉は今も多くの人の心に残り続けていることでしょう。
 本書は、2010年~2015年「暮しの手帖」に連載されていたエッセイをまとめたものです。それだけに、本文はもちろん、そのタイトルがよく練られています。その一部をご紹介しましょう。

  • 「いい子」に育てないすすめ……人を信じ、自分を信じる子どもに
  • 感動と意欲の源泉……根拠のない自身を育てる大切さ
  • 子どもに言ってはいけない言葉……本音で話す子どもに育てるために
  • 子どもに与えるもの、与えないもの……ゲーム機を例に考える
  • 子どもを叱るとき……自尊心を育てるしつけ
  • 自立に必要な依存と反抗……甘えとわがままの意味
  • なぜ子どもは思春期につまずくのか……「自分」を探し求めて
  • 自閉症スペクトラムの子どもに寄せて②……特性にあわせた生活シナリオを
  • いい母、いい子という価値観……プレッシャーにつぶされないで
どれも短い文章でありながら、子供への眼差しがあたたかく、読むだけで子供に優しく出来そうな気がしてきます。内容はご紹介しませんが、これだけでもそうした特徴の一端が伝わるのではないでしょうか。

 本書を通読すると、「子供を一人の人格として尊重し、愛し、信じる」という哲学が伝わってきます。それは本書の「あとがき」にも書かれていました。

 人間は、人を信じることができて、はじめて自分を信じることができます。そして、自分を信じることが生きる力になります。それには、あかちゃんのときからお母さんをどれくらい信じられるかが重要になるのです。
人が最初に出会う他者がお母さん。その人を信じられるから自分を信じられるというわけです。この順番が逆になることはないと佐々木さんは言います。授業参観後の懇談会や学級通信。本書の内容を話題にしてみるのもよいのではないでしょうか。

 本書の表紙絵や挿絵を描いているのは、山脇百合子さん。ご存じ「ぐりとぐら」の絵を描いている画家さんです。本書の帯にある推薦文は、そのお姉さんの中川李枝子さん。佐々木先生の優しい文章と相俟って、本書は見た目も魅力的に仕上がっています。

お役立ちポイント:★★★★★
※このポイントは、学校教育との直接の関わり度合いを示しています。本の善し悪しを示しているものではありません。

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